検索
【連載】認知症とともに生きる(3)「見守りサービス」の使い勝手はいかに?
朝日新聞社からASAへ過去に提供されたコラム「認知症とともに生きる」を全3回にわたってお届けします。
毎月10日に1回ずつ掲載します。
認知症の人や認知症の人が身近にいるという方ばかりでなく、社会全体で彼らを取り巻く困難に理解を深め、彼らが安心して暮らしていける社会になるよう、本連載がそのきっかけになれば幸いです。
(3)「見守りサービス」の使い勝手はいかに?
朝日新聞 東京本社 総合プロデュース室 坂田一裕
朝日新聞社は「認知症フレンドリープロジェクト」を展開中です。認知症になっても住み慣れた街で安心して暮らしていける社会づくりを進める活動です。
本連載の1回目で、朝日新聞の今後の記事では、認知症の人が「徘徊する」という表現を原則使用しないことを説明しました。これは本人の視点に寄り添う考え方に基づくものです。
家族や周囲の視点に立った場合、ともに生きていくためにはどうすればいいのでしょうか。家族や地域の見守り以外にも、民間企業ではさまざまなサービスを展開しています。
地図や旅行ガイドを手がける昭文社(本社・東京)は、衣類や杖などの持ち物にシールタ
イプの「QRコード」を貼り付けてもらい、道に迷ったとしても発見者がQRコードをスマートフォンな
どで読み取ると家族に居場所や状況をメールで伝える「おかえりQR」を開発しました。
発見者には「発見者の方へ 迷子になっている可能性があります」と表示され、発見対象(迷子、落とし物)や家族への連絡内容(交番に誘導する、発見連絡のみなど)の順に選択する画面が表示されます。「○○交番にいます」「私の電話番号まで連絡してください」などと自由に記入できる欄もあります。利用者の家族には、双方の個人情報を開示しなくても事前に登録したメールアドレスにそれらの情報が地図付きで通知されます。
開発者である同社事業開発部の池田有作さんは、「従来の見守り端末は必ず持ち歩いてくれるとは限らないのが課題でした。そこで当社の地図情報も組み合わせ、手軽に確実に持ち歩ける手法としてQRシールに注目しました」と話します。
道に迷いがちな高齢者のみならず、子どもやペットにも活用の幅は広がっているそうです。
一方、大手警備会社のセコムは「現場への駆けつけ」を最大の特徴にしています。「ココセコム」という持ち運びタイプのGPS端末があります。利用者の家族などがオペレーションセンターに連絡すると、端末の位置を検索し、要請があれば「緊急対処員」が現場に急行します。
同社特品部の担当者は「2001年発売以来、見守りサービスの老舗です。高齢の親に持ってもらう、夫婦で持ち合うなどのケースが増えています」。
今後はさらなるサービスや機能強化を検討しているそうです。
【連載】認知症とともに生きる おわり