【連載】自由が丘クリニック恵理ドクターの美容医療コラム VOL.11 最終号(2023.3)骨盤底筋群 鍛えて健康的に
更新日:2023年4月14日
専門医が教える美容コラム(全11回)
今回が最終号となります。
健やかな老化を叶える美容医療
3月、ついに年度末ですね。今回で、このASA自由が丘での連載も最終回になりました。1年間お付き合いいただき、ありがとうございました。
最終回はアンチエイジングとの向き合い方について、医学的にお話ししていきたいと思います。
医学の発展に伴い、人間の寿命は遥かに長くなりました。そし影響が現れることは、誰もがご存知の通りです。しかし、この部分の長さと関連する可能性が示唆されています。テロメアは加齢により短縮とも呼ばれています。70歳以上の1826人の双子を対象としたこの調査では、実年齢、性別、環境を調整した後でも、見た目年齢は生存率と深く関連した事がわかっています。さらに、この双子のペア内の見た目年齢の不一致が大きくなるにつれ、年上に見える方の双子が最初に死亡する可能性が高くなりました。DNA配列が同じ双子でも、見た目年齢と関連して、余命が異なるというのは大変興味深い結果です。この見た目老化に大きく影響する因子としては、紫外線暴露期間、肥満(40才以下では痩せている方が見た目年齢が若く、40歳を超えると逆になる)、喫煙、精神状態などがあげられます。
また、老化は骨や筋肉、血管など直接見えない体の全ての部分でも生じていきます。その中で、アンチエイジング的に、最近特に注目されているのが、『骨盤底筋群』。骨盤底筋群は、女性の場合、子宮、膣、膀胱、尿道、直腸といったデリケートな臓器を支える重要な筋肉のことです。男性の場合、膀胱や腸を支え、性的な機能にも関係しています。
この部分は、スポーツジムに行ってもなかなか鍛えづらい部分でしたが、最近は、医療機関で手軽に鍛えることが可能になり、この方法が広く普及しつつあります。医療機関で鍛える(治療する)方法は、服を着たまま椅子に座るだけなので、とても簡単。電気刺激(EMS)と違い、磁気パルスを使用し、身体内部で電気信号を発生させるので、衣類、皮膚、骨などに影響はなく、体に負担を与えずにインナーマッスルを刺激することができます。また、陰部神経や仙骨神経などの神経系にも作用するので、排尿をつかさどる膀胱利尿筋肉の異常収縮を改善できます。
治療により、骨盤底筋群や骨盤周囲の神経系が鍛えられると、尿失禁、特に、骨盤底筋群のゆるみが原因で、笑いや咳などのちょっとした動作の際に、お腹に力がかかると尿が出てしまう、腹圧性尿失禁(SUI)タイプの方に効果的です。他人には言いづらいものの、実はこのようなデリケートな悩みをかかえている方は大勢いらっしゃいます。
今回説明させて頂いたように、常に新たな対処法も出てきていますので、興味がある方は医療機関にお話を聞きに行ってみてはいかがでしょうか。治療は出来るだけ毎週通う必要がありますので、お近くで見つけられると良いでしょう。
自由が丘クリニックでは、高強度テスラ磁気刺激(HITS™)を用いた、先述の服を着たまま30分座るだけの治療をご用意しております。悩む前から治療を始める方もいらっしゃいますので、ぜひお気軽に、ご相談ください。
ヒト老化の75%は環境因子。今後、認知機能改善や健康増進など、さらに健康寿命を伸ばす取り組みが、医学的にも活発になってくるでしょう。ぜひ、これからも注目していてください。
1年間お読みいただき、ありがとうございました。
執筆 / 古山恵理(ふるやま えり)